しばにゼミ ご報告
3月31日、4月1日と、第1回、第2回のしばにゼミを開催させていただきました。
準備する我々も、どのような皆さまがお集まりで、どのような会になるのやら、楽しみ半分、緊張半分で当日を迎えました。
「自分の予約は自分で」と、いささか厳しい?ようなお願いをしてみたりしてどうだったのだろう?とも思いましたが、逆にそれが嬉しかったとお一人でいらっしゃる方がほとんどでした。
私としばにさんから少しお話させていただいた後、今回はしばにさんのレシピより、「豆腐の和グラタン」「そばサラダ」「新キャベツのスパイス蒸し焼き」を皆さんで作りました。
「結果にこだわらず、失敗してもかまわない。アレンジを加えたってかまわない。五感を使って、素材の変化に集中して、手を使って…」しばにさんのお話を聴いた後のお料理。いつもと「意識」が違ったのではないでしょうか。実は2回のゼミに加え、夜には職員の有志でのゼミも開催しましたので合計で3回、同じお料理をいただきました。少しずつ確かに味は違うわけですが、どの回も心底「美味しい!」と思いました。
新しい料理を意識して作る事に始まり、いよいよゼミの本題であるテーマを持ったお話会です。
『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著)より、しばにさんが抜粋してくれた文章を静かに読み、皆さんのお話を聴いたり、自分が話してみたりの時間。
「心の在り方、自身の日々の生き方がどう身体に影響を与えるのか、変化を促すのか」という事で、これは病気であっても、そうでなくても、人が生きる上で永遠のテーマなのだと思うのです。
皆さま、ご自身の事、ご家族の事、様々お話くださいました。たくさん発言した人もそうでない人も、それぞれが自分の内をみつめる時間になったようです。発言するしないは、ここでは問題ではありません。
今回は癌についての本でしたので、「身体をリードするのは心であり、その逆はあり得ません」と文章にあったのですが、以前私が大好きなヨガの師匠についていた時、それなりにハードな練習をしていましたが、3か月ほど休まねばならない期間がありました。ヨガのレッスンに復帰する時、「このブランクを取り戻すのにどれだけかかるのだろう、積み重ねてきたものが崩れたのだ」と思い、どんよりした気持ちでいたのですが、何年も鍛えた身体は私を裏切る事なく、生き生きと動く事ができ、弱気になっていた気持ちまでどんどん明るくなり、集中してアーサナ(ポーズ)に取り組めたのでした。
日本の道の稽古でも、まずは型を身体に染み込ませます。そこに心が入ってゆきます。例えば茶道で申しましても、型がしっかりしていれば、お点前を始めて最初は心が定まらぬ日でも、型が心をリードし、だんだんと集中してくる事があるのです。
坐禅でも同じです。はるか古より、心と身体の相関を深くとらえてゆきついたのがインドの叡智ともいえる「坐」なのでしょう。ヨガも最終的にはこの「坐」の為にすべてのアーサナがあると言われています。
住職もよく、「身体を整えない限り、坐禅はできない」と常々申しておりますが、心身一如とはよくいったものだなと思います。
私の感想ばかりになってしまいましたが、それにしましても、私たちはいったい、どれだけの目に見えないものにがんじがらめになっているのだろう…。そんな事を考えた2日間でした。
自分をがんじがらめにしている鎖が緩んで、いつかそんなものがあったことすら忘れている自然体、ありのままの自分、本当の自分を生きることに少しでも皆が近づけてゆけると良いなと心から思うのでした。
もうそれは、難しい禅の語録を勉強せずとも、坐禅をせずとも、雲水としての修行をせずとも、それそのままの過程が「禅」なのだと思うのです。
しばにさんも私もまた、お集りの皆さまのおかげで自分をみつめる事ができ、このような機会を与えていただいている事に感謝しております。
この会は不定期開催ですが、細く長く続けてゆきたいと思っております。次回は少し先になりそうですが、またご案内させていただきますので、しばしお待ちくださいませ。
なお、一度参加した方を優遇、あるいは初めての方を優遇、などということはいたしません。その日、その時に集まれる人が集まる。それが一番だと思っているからです。天にお任せして集えた人たち。今回も不思議と来るべくして来られたような方が多かったです。しばにゼミは逃げませんので、来られるときに参加していただけたらと思っております。
今後のご縁も楽しみにしております。
*写真は参加者T様より頂戴したものも使わせていただきました。
ありがとうございます。