桐生・香雲堂

お寺の暮らしでは、様々な職人さんや作家さんとの出会いがございます
その素晴らしいお仕事を色々とご紹介させていただきたく存じます
5月15日、群馬県は桐生にございます、香雲堂さんを訪れました。
数年前から贔屓にしているお店で、お檀家さんの法要前の一服に、お茶会に、行事に、いつもとてもおいしい季節の主菓子(お抹茶のお菓子・和菓子)をお届けくださいます。
一度ご挨拶に伺いたいと思いつつ数年…。
本年7月の月釜の亭主を東慶寺が担当させていただくにあたり、住職が「水屋で香雲堂さんにお菓子を作っていただき、作りたての美味しさをお客様にお届けしたい!」と。
これは良い機会と、御願いにあがることになりました。

HPよりお写真お借りしました
まだ40代の若い職人さんであるご主人は、なるほどいかにも職人さんといった風情の方で、ひたむきにお菓子と向き合っていらっしゃるのがよくよくわかります。この感じあってこその、あの味だとしごく納得。
ご一緒にお店をきりもりするのは、かわいらしくもしっかりなさった奥様で、不審庵写しのお茶室にて作りたてのお菓子と美味しいお抹茶も頂戴しました。
「いつも美味しいけれど、作りたては格別!」と、息子も含め3人で(お茶会のお菓子の試作もいただきましたので)3つも主菓子を頂戴しました。
なかなかに味の分かる息子は、「まだ食べたい!」と言っていたほど…。
私としましては、昔いっとき、ご主人が修行なさっていた末富さんのお菓子が大好きで、よく求めては家で一服点てておりましたので、こちらのお菓子をいただくと、いつもそのころの味を思い出し、とても懐かしい思いが蘇るのです。

お菓子の味と意匠の美しさを保ちつつ、変わらず作り続けるという事は、並大抵のことではないと思うのです。
京都の老舗でも、味を保ちつつ、代が変わっても…というのがだんだんと難しくなってきたように見受けます。
まだまだ若いご当主には、これからも変わらずお菓子と向き合っていただき、末永くおいしいお菓子を皆さまにお届けくださると、これ以上嬉しい事は無い、いやきっとお届け続けくださるだろうという確信と期待と安堵を胸に、清々しい初夏の桐生をあとにしました。

新幹線と在来線を乗り継ぎ、8時前に北鎌倉出発で2時間の桐生滞在、帰宅は17時過ぎでしたが、学び多く、心にも五月の薫風が通り抜けるような、清々しい一日となりました。