岸野 承 展 於・日本橋高島屋

■2025年5月28日(水)~6月9日(月)
■本館6階 美術工芸サロン
岸野承氏は1972年生まれ、1996年愛知県立芸術大学彫刻専攻卒業。
大学で彫刻を学んだ後、石彫・鋳造などの仕事を経て、
現在の古木を使った木彫作品の制作に取り組まれました。
古木と向き合い、その中に抽象的な表情をみいだし、
素朴で侘び錆びの雰囲気を醸し、
かつ鑑賞者の感情にゆだねるような作風に定評があります。
雲水、仏像、羅漢像のほか、人々の日常を切り取ったような
多彩なモチーフのお作品を展開いたします。
自然の中にあるようなお作品をお楽しみください。
日本橋高島屋 美術画廊

15年来の友人でもあり、その作品には魅了され続け、さらに人としても尊敬する岸野承さんの展覧会にお邪魔して参りました。
若かりし頃、物づくりをする友人たちとお酒を酌み交わし、美味しいものを食べては議論しあいました。その中でも抜きんでて人に厳しく自分にもとても厳しいのが岸野さんでした。
私も何度となく「お前はそのままでいいのか、だからいけないのだ!」といわんばかりに色々と示してくれるわけですが、私も私で若かったのです。
「老師でもないくせに老師のような態度で人を接化しようとするなんておかしい!」とやりあうわけです…。論点ずれていますね…。でも痛いところを突かれて悔しかったのでしょう。

今では2人とも年齢を重ね随分と落ち着いたものです。
岸野さんは、作品と向き合う事や、禅寺に出入りする事で、常に自分とも向きあってきているからか、まだ50代でありながら時に好々爺の風情を纏いつつ、時に厳しく物事の真理を見極めたような事を言う、興味の尽きない人でもあります。
住職もすっかり作品のみならず、その人柄にも魅了され、息子まで大好き。
今や家族で大ファンなわけです。

石や木の方から、自分の内に秘めているものを生み出してほしいと岸野さんの元に集まっているのではないか? もはや、それが先なのか、岸野さんが何かを生み出そうと意識をして作るのが先なのか、どちらなのかはわかりません。
石や木が宿す気と、岸野さんの気がぴたりと合ったその時に生まれるのが彼の作品です。
言葉でいくら現わしても、一目見て感じるのにはかなわないものです。
是非おでかけになられてみてください。