「世界を変える美しい本」インド・タラブックスの挑戦

2018.11.25

既に話題になっているシリアルナンバー付きの美しい本。ご存知でしょうか。

南インドはチェンナイにある小さな出版社・タラブックスは、自分たちが心底作りたいと願う本を作り、世界中にファンを持つようになりました。

昨年も板橋区立美術館で同じ時期に開催されていたのですが、忙しくて全く時間が取れず見逃して後悔していたのでした。
すると、今年は大好きなクレマチスの丘にあるビュフェ美術館で開催されるという情報が耳に入り、これは何としてもとでかけて参りました。

私がこの出版社を知り、是非一冊でも本を手に入れたいと思ったその頃に、宮本しばにさんが、『夜の木』を携えてお寺に遊びに来てくれたのでした。
持っているだけで、本棚に並んでいるだけで意義のあるような、心豊かになるような、職人が一枚一枚手刷りした美しい色の世界に魅了されたのでした。

ビデオで、実際の制作過程を拝見したり、インドの様々な地方に住む民族固有の芸術が本の中で生き生きと表現され、世界に羽ばたく姿に感無量。
もともとインドが大好きなのですが、改めて彼らの持つ芸術性、そして職人仕事の綿密な事に感心する事しきりでした。

これはもう、ご覧いただかないと、すべてを言葉にするのは無理なのです。
一日小旅行気分で、クレマチスの丘におでかけなさる事をお勧めします。

お寺では、来年から白蓮舎を開放し、写経の週とカフェの週をそれぞれ1か月の中で設けようと思っておりますが、ひっそり「勝手にタラブックス展」を開催し、私たちが持っている本を皆さんにご覧いただこうかな…などと考えております。

それにしても、タラブックスが教えてくれる事は、人生にもとても大きな影響があると思えます。
皆、どこか惰性で生きていたりする所があるかとは思いますが、やはり、これだ!と思えるものに愛情や情熱を注ぐと、じわじわと共感者を得ることができるのでしょう。

また、こういった本が家庭の本棚に並ぶ事は、子供にも良い影響があるでしょう。

仏教の言葉に、薫習(くんじゅう)という言葉があります。禅宗でもよく、「老師のようなすぐれた人物について修行したり、共に生活したりしていると、気が付かないうちに自分もすぐれた人物になれる」といった意味で使います。いつも香りを焚いていると、いつの間にか、部屋や衣服にその香りがうつるように…。
どのような本に囲まれて日々暮らすかも、そうではないでしょうか。いつしか影響を受け、自分に染み入っているものなのだと思います。

ちなみに、ミュージアムショップでは、タラブックスの本がたくさん揃えられ、インドの手仕事による小物なども販売中。とってもワクワクするラインナップですので、おこづかいをたくさん握りしめておでかけください。

 

「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」
ベルナール・ビュフェ美術館(静岡・最寄り駅は三島駅)
2019.1・14(月)まで開催中