釈宗演老師の故郷、高浜へ vol,2

2018.11.04

前回のブログに引き続き、10月29日に開催された講演会についてです。
まずは、中島美千代さんと、高島正嗣さんがご登壇です。

中島美千代さんは、今年5月に『釈宗演と明治 ZEN初めて海を渡る』を上梓された作家さん。高島正嗣さんは、 漫画家・井上雄彦氏のチーフ・アシスタントで、今回が処女作品となる、釈宗演の生涯を描いた漫画『ZEN 釈宗演』上下巻の著者であります。

お二方とも、初めから釈宗演老師の事を知っていたわけではありません。それこそご縁と機会に恵まれ、今回の作品を上梓するに至ったわけですので、並々ならぬ努力で、老師の事を調べたり、学ばれたのです。

何しろ、禅宗に通じた方たちというわけではないので、まずは専門用語がわからない。加えて、これまで出版されている老師関連の本は文体も古いので、読みづらいものが多く大変なご苦労があったようです。
老師にまつわる土地にも足を運ばれ、当時の事に思いを巡らせ、ご執筆なさいました。

対談の最後に、老師の魅力を一言で表現するなら?というご質問に、「あんなにもすごい方なのに、人間味あるところ」、「人間臭さ」とお二方ともお答えになられました。
高いところに鎮座する聖人というわけではなく、万能のように見えて、我々の近くにいてくださる非常にあたたかな方だったのでしょうか。
それがまた、釈宗演老師の魅力であり、多くの人を惹きつけてやまなかった所以なのでしょう。

以上の対談の後は、多くの方が釈宗演老師の生まれ変わりではないかと言われる、我等が円覚寺派管長・横田南嶺老師によるご講演です。
釈宗演老師の事に関しては、どのような資料にも目を通され、残された多くの漢詩なども訓読されていらっしゃいます。
既に、生きて釈宗演老師に会った事があるという人は、この世には存在しません。
とすれば、南嶺老師をおいて他に、これほど釈宗演老師の事をご存知の方はいらっしゃらないのではないでしょうか。
高浜でのご生誕から、東慶寺にて最期を迎えられるまでの宗演老師のご生涯を語ってくださいました。


詳しくお知りになられたい方は、禅文化研究所発行の季刊誌『禅文化250号』にて、南嶺老師が「釈宗演老師を思う」という長文をご寄稿なさっておられますので、是非お求めの上、ご高覧ください。今号には、釈宗演老師壱百年遠遠諱記念特集として、他にも宗演老師関連の文章が載っておりますので、読み応えがあるかと存じます。

さて、高浜での一日目の生誕記念碑の除幕式と講演会のご報告が終わりました。
高浜在住の方のみならず、遠方からも多くの方がつめかけ、盛会となりましたこと、喜ばしく思いました。

2日目の法要につづく

*ご紹介しました3冊の本は、東慶寺売店でも販売させていただいております。お手に取ってご覧になってみてください。