釈宗演老師の故郷、高浜へ vol,1

2018.10.30

本年は、元円覚寺管長で、明治の廃仏毀釈より荒廃した東慶寺(管長を退かれてから住職をなさっていました)を復興された明治の名僧である釈宗演老師の100回忌にあたります。

東慶寺宝蔵でも墨蹟展を開催させていただいておりますし、京都の花園大学での老師に関する展示のちらしをお配りしておりますので、皆様のご記憶に留めていただいておりますでしょうか。端正なお顔立ちのあのお方です。

この度、老師の故郷である福井県の高浜へ、生誕地記念碑の除幕式と記念講演会、法要にお招きいただき、10月29日(生誕記念碑除幕式・記念講演会)、30日(法要)と赴いておりました。

福井県、大飯郡高浜町、臨済宗の関連寺院の和尚様方、そして熱い思いで故郷の偉人についてを広く知っていただこうと活動している「釈宗演を顕彰する会」の皆様方のお力にて、この度、生誕地・高浜町町役場 公民館の前、ちょうどメインロードとなる道路からも目立つ場所に、生誕記念碑が建てられました。円覚寺派管長・横田南嶺老師、釈宗演老師のご生家の末裔のご当主、その他お歴々方と共に、住職も除幕のお役目に預かりました。
(もちろん、記念碑の揮毫は横田南嶺老師であります)。

自分たちの故郷から、禅を世界に広め、多くの政財界人など影響力ある人物を弟子に持つような禅僧が出たのだという事を、まずは町の人々、特に次世代を担う子供たちに知ってもらい、故郷や老師を誇りに思ってほしい、将来の志を見据えて自信を持って立派な大人になってほしいという皆様の思いがひしひしと伝わってまいりました。
故郷に誇りを持てるという事は、自分自身の根っこの部分がしっかりとしてくる事にもなりますし、どこへ行って何をしても、帰る確かな場所があるという安心感は、お金では買えない価値のあるもので、自分自身を支えてくれます。
歴史に名を残す立派な方々というのは、その根っこの部分がしっかりとしている方が多いのだと思います。釈宗演老師も、故郷には並々ならぬ思いがおありだったようです。

皆様の熱心な活動を知るにつけ、100年先をも見据えた、町の人材育成への思いには心打たれるものがありました。
こういった土壌があってこそ、福井の地には素晴らしい禅僧、宗教家が多く出ている事がよくよくわかったのでした。

除幕式後の講演会に先立ち、来賓挨拶では住職も登壇させていただき、住職の祖父にあたる井上禅定が15年前に高浜で講演をさせていただいた事、前住職で、父にあたる井上正道もこの地を訪れていた事、もちろん高浜の皆様も多く東慶寺にお参りにいらしていただいていた事など、双方のご縁の深さや、明治の廃仏毀釈後、釈宗演老師が住職をされていなければ、今の東慶寺はあり得ない事など、短く簡単にではありますが、お話させていただきました。

講演会につきましては、次回ブログにてご紹介したいと思います。