新年雑感

2020.01.23

皆さまこんにちは。

新年を迎えて早1ヶ月が過ぎようとしております。いかがお過ごしでしょうか。

私事ですが、嫁いで4回目のお正月を迎えました。先代から当代住職へすべての采配が任されるようになってから丸3年が過ぎました。
各部屋や茶室などの正月飾りも、試行錯誤の結果、我々の型が定まって参りました。

書院の床には若松を、お玄関には万年青を生け、水月堂のお茶室には結び柳、床には仏手柑を、、、
庫裏の裏玄関には、職員にまかないを出すので、みんながおいしいご飯をたくさん食べられるようにと、雨宮ゆか先生に教えていただき、毎年御杓文字型のしめ縄飾りを作り、飾っています。
その他も様々な箇所に正月を迎える準備を整えますが、住職と共に楽しんで、心を込めて年神さまをお迎えすべくしつらえております。

長い歴史を持つ東慶寺ですから、昔からの風習や決まり事があるのかと皆さまのご想像を大いにかきたてるものがあるとは思いますが、
残念ながら、尼寺であったのは明治時代までで、その頃には寺も衰退し、廃仏毀釈によりさらに衰退の一途をたどり、そしてまたさらに関東大震災で多くのものを失っておりますので、寺の歴史や歴代のことなどもわかっていないことが多くあります。尼寺時代から続くしきたりというのももはやありません。

男僧の寺となり、釈宗演老師や佐藤禅忠和尚、井上禅定和尚などがそのお力を発揮され、寺を盛り立ててきてくださり、なんとか今の姿となりました。
住職が変われば、寺の方針や境内も変わってゆくのが常です。
現在の住職は、当時の建物などは残らないものの、尼寺時代の空気感や土地の持つ力は失っていないと考え、東慶寺らしさとは何か、北鎌倉の谷戸の自然に抱かれた寺がどうあるべきかを常に考えつつ境内づくり、建物内のしつらえ、売店の商品にいたるまでを考えております。

我々の代でどこまでできるかわかりませんが、より良いお寺へというのが、もはや人生そのもの、一番の関心事、趣味…のようになっており、これが今回の一生で与えられた仕事ならば、なんと幸せなことだろうと思います。
自分たちがこの世に亡き100年後、200年後のことまでをも想像しつつ、こつこつと、一つ一つ淡々と事をなしてゆける事の尊さ、ありがたさを、お寺での生活からしみじみと感じ、受け取らせていただいております。

お寺は、ご先祖様を祀ってほしい、自身が東慶寺のお墓に入りたいと思ってくださるお檀家さん、信者さんにも守っていただいておりますし、
また、なかなかに厳しい住職や私についてきてくれている職員の皆さんにも、いつも助けられて守られております。
その他にも、お茶室を使ってくださる先生方、庭師さんや大工さん、庭のことや畑などを手伝ってくださるシルバーの皆さん、多くの人間の心と仕事あってこそ守ることのできるものです。
これが、1285年からずっと続いているのですから、住職など、歴史に残る人以外にどれだけ多くの力添えがあったことでしょう。
知るすべもありませんが、ほんとうにすごい事だなと新年から改めて感謝すると共に、気持ちを引き締めた次第です。

本年は、各種体験や論語塾に加え、2月には涅槃図お絵解き、5月のGWには昨年に続き、ニマイニタイ展を白蓮舎にて、11月にはまた大きなお茶会も計画しております。しばにゼミも1月は終わりましたが、また開催予定です。

ホームページやFacebook、Instagramなどで随時情報発信してまいります。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。