東慶寺 大地の再生講座のご案内

2021.09.14

大地の再生により復活した梅の花

東慶寺の境内には、数多くの梅、四季折々の山野草、そして北鎌倉の湿潤な気候により、様々な種類の苔が自生しています。
しかしながら、近年では台風や豪雨により、倒木と土砂崩れが多発し、樹齢数十年しか経っていない梅も衰えが見え始め、境内の大地全体が弱ってきていると感じておりました。

昨年の6月、矢野智徳氏とのご縁をいただき、矢野さんご指導のもと、東慶寺境内の再生活動をおこなう運びとなりました。
約1年と少しが経ち、合計7回の大地の再生作業を行ってまいりました。
その作業が境内を一巡したのを機に、皆さまのお力を借りると共に、自身の身近な環境でも生かせるような大地の再生の草刈りの方法などを学んでいただくべく、講座形式での大地の再生を開催したく、ここにご案内申し上げます。

大地の再生→詳しくは公式HPをご覧ください。

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日時:9月26日(日)、27日(月)

講師;矢野智徳(杜の学校)
講座参加費 1日 5000円、鎌倉市民は3,000円
昼食(お弁当)別途1000円

8時受付開始
8時30分作業開始
17時頃終了予定

*宿泊希望の方は、寝袋持参にて場所を提供致します。
1泊2000円

お申込みは、お申し込みフォームよりお願いいたします。

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呼吸ができなくなった土の再生

下記に、大地の再生の際、いつも代表の矢野さんの右腕となり、現場監督としても大変お世話になっております、大地の再生 関東甲信越支部の押田大助氏からのお話を掲載させていただきます。
この事業は、もはや東慶寺境内の中のみのお話ではありません。鎌倉市全体、そして相模湾流域までをも視野に入れて取り組んでおります。
どうかご理解、ご協力何卒よろしくお願い申し上げます。・

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大地の再生として初めて東慶寺の環境改善工事に入らせていただのが2020年6月29日。
あれから1年あまり、合計7回の大地の再生講座を開催してきました。

大地の再生ではここ1、2年の間に北鎌倉の東慶寺の他に、東鎌倉の滑川沿いや由比ヶ浜近辺など鎌倉市内のいくつかの案件の工事に関わらせていただきました。

どこの現場を見ても水脈の滞りや木々の樹勢の衰退など、自然環境は疲弊しているという事実は否めませんでしたが、コンクリートに囲まれドブ川のように見える滑川でさえも、いまだにモズクガニや、かわせみが生息しています。
表面的にはコンクリートやアスファルトで覆われ環境は疲弊していますが、水脈の深いところはまだ息をしている、というのが鎌倉の現場を通しての杜の学校 矢野智徳の見解でした。

三方を山に、南は海に囲まれるという独特な鎌倉の地形を生かし、地形や水脈の要には、鶴岡八幡宮を起点として、数多くの寺院が配置され、そこが鎮守の杜として保全されてきたことで、鎌倉の古き良き景観は長きに渡り保たれてきたのでしょう。
しかしながら、ここ数十年の都市化による大規模な宅地造成や道路網の整備などの開発は、鎌倉の豊かな水脈を停滞させ、周辺の自然環境は一気に疲弊し、各地で土砂災害や倒木、ナラ枯れが発生、環境の劣化は年々ひどくなるばかりです。

全国的に自然災害が頻発する昨今、ゲリラ豪雨、ヒートアイランド現象や土砂災害の発生にはなすすべもなく、人々の生活基盤を揺るがすようなこの大きな難題に、多くの方が向き合い早急に環境劣化の現実を知り、再生の手立てを打つ必要があるはずです。

そんな中、昨年からの東慶寺での大地の再生の環境改善工事を経て、木々の樹勢は回復傾向にあり、傷んでいた草木や崩れた斜面地も落ち着きを見せ始めてきています。

北鎌倉の丘陵部、谷戸に広がる鎌倉らしいこの環境を保全する意義は大変大きく、ここを再生し保全していくことで、東慶寺の境内だけでなく、柏尾川(境川)流域、鎌倉全体の環境改善に繋がり、大きな視点で見れば、富士山北麓から相模湾へ流れる相模川流域にまで影響を及ぼしていくといえるでしょう。

今回の講座では、定期的なメンテナンス講座という位置付けではなく、東慶寺付近を流れる柏尾川(境川)の上流から下流に至る地域住民、または滑川、相模川流域など、相模湾に関わる流域全体の方々が軸になり「流域参加型」としての改善作業を行いたいと思います。

また、緊急事態ともいえる近年の自然生態系の崩壊した現状は、かつての「いざ鎌倉」のように、他地域からの参加も歓迎し、大地の再生の手法を地元に持ち帰ることで、また各地域での環境保全活動に繋がるのではと思います。

そんな様々な人たちが関わる新しい流域単位の「結(ゆい)」の連携を、「東慶寺 相模湾流域 結の杜づくり」として、元環境の再生と整備を行うことで、東慶寺境内から周辺の鎮守の杜の意義をもう一度見直し、鎌倉の自然再生の足掛かりとなり、次世代へと繋いでいく活動にしていきたいと思います。

コンクリートに穴をあけて、地中に空気を