縁切り寺?
-水月観音様の参拝について-

2018.08.26

「そちら縁切り寺ですよね?縁を切りたい人がいるんです」。

度々お電話頂戴します。

今は昔、女性から離縁ができなかった封建時代、東慶寺に駆け込めば後に(いろんな段階を経て)離縁ができる女性救済の寺として、明治にいたるまで縁切り寺法を引き継いで参りました。そういった歴史は詳しくご存知無いままに、「縁切り寺」ということばだけをお聞きになり、お電話くださるのかと思います。

 

中には「友人から聞きました」という方も。事実、悪縁が切れ、良縁を頂戴したと御礼参りにいらっしゃる方もおられます。どうやら、いつの間にか水月観音様が良縁をいただける観音様となられて、信仰を集めているようです。

仏教の研究者から興味深いお話を拝聴したのを思い出しました。

ある観音様に芸能人がお参りし、子どもを授かるようお願いしたところ、見事願いが叶ったとブログで書いたとたん、その観音様は子授け観音となり、参拝者が一気に増えたのだとか。

こういったことは昔からままあったようで、時代によってどういったご利益のある仏さまなのかは変容するとの事でした。

 

東慶寺では、住職による祈祷や護摩焚き(そもそも臨済宗で護摩焚きはしませんが、お問い合わせがあるのです)といった事は致しておりません。

ですが、ご自身で行動を起こされて、水月観音様にお参りし、心が清々しくなられる事で、自分を取り巻く世界が変わるという事は実際にあるのだと思います。境内の自然からも色々気づかされる事はありますし、電話の向こうで必死なご様子の方にも、そのようにお話させていただいております。

毎月18日の観音様のご縁日のみご参拝いただけます。9時から16時までの間、本堂より直接お参りいただけます。

ちなみに、先々代住職は、何かにつけて水月様…だったようで、なくし物をしてもよくお願いしていたとか(実際に出てきたそうです)。

古くからお寺にお手伝いに来ていただいている方に聞くと、

寺族が車での大事故にあった時に無傷だったそうですが、水月観音様のお守りがどこを探してもみつからなかったそうな。

どういう力が働くのかはもはや我々にはわからぬ世界ですが、説明できずとも「ある」ことだけは皆わかっているのではないでしょうか。