移ろい -東慶寺の庭-
2018.09.02
皆さまこんにちは。
冬には静かだった庭は、梅が終わり、徐々に暖かくなってくると、まるで意思のある生き物のごとく一斉に動き出します。
様々な草が生え、木々も芽吹き、その勢いはそれはもう、人の手が入った庭ですら山に返ってしまうのではないかと思わせるほどです。
東慶寺境内には、取り立てて目立つような(今で言うとインスタ映えですか?)造りこんだ枯山水の庭や、池泉回遊式の庭園などがあるわけではありません。これだ!というものが無い分、季節ごとに何度も足を運んでいただけると良いなと思うのです。
現在は、紫苑(シオン)が白蓮舎を隠すほど、我々の身長も超える勢いで花をつけようとしています。冬にはすっかり消えて無くなってしまう野葡萄も、先へ先へと蔓を伸ばし、そろそろ色づこうとする実をたくさん実らせています。住んでいる者ですら、「こんなに四季で違う庭があるだろうか」と思うほどです。季節によって全く違う植物が顔をのぞかせる土の中は、一体全体どうなっているのだろう???といつも不思議に思っています。
今の季節にいらした方は、是非真冬にもいらしてみてください。面白いくらいに草花が息を潜めています。夏には隠れて見えなかった苔たちが主役の、枯れ切った庭。私は実はその姿に心打たれるものがあります。でもそれは、違う季節を知っているからこそなのかなとも思います。
移り変わる庭の様相は、そのまま自分の心象風景とも重なります。度々訪れて今の自分をみつめる時間を持っていただければと思っております。その為にも、ゆっくりと境内でお過ごしいただけるよう、色々と考え中です。
さて、本日はおやこ論語塾です。毎月の開催で移り変わる境内が、子ども達に教えてくれるものも多々あることでしょう。