大般若会

2019.01.11

皆さまもご存知、玄奘三蔵(三蔵法師)がインドから持ち帰った経典をサンスクリット語から漢訳し、まとめたものに、「大般若波羅蜜多経」があります。

全部で600巻にも及ぶ長い長いお経なのですが、三蔵法師が漢訳するにあたり、晩年であったにも関わらず死ぬまでに成し遂げられたのは、諸仏の助けがあったと述べた事からも、有難いお経として尊ばれており、日本でも古くより、お正月に僧侶たちがこのお経を唱え、国家安泰、五穀豊穣、国民和楽などを祈念して読経する「大般若会」が勤修されていたようです。

毎年お正月三が日、東慶寺住職も、この大般若会の為、早朝に円覚寺に出頭(法要などに和尚が参列すること)させていただいております。
仏前には「般若札」をお供えし、600巻に及ぶ大般若経を出頭した僧侶皆で分担して「大般若波羅蜜多経第〇〇巻」「降伏一切大魔最勝成就」と大声で祈祷します。

実際に唱える事はできないくらいに長い長いお経ですので、転読といって、教本を持ち、ぱらぱらと写真のように(南足柄の極楽寺さまの大般若会です・教本で背中を叩いていただき、お檀家さんの厄払いもされます)することで、読んだ事にする方法をとります。

そんなご祈祷を終え、願いのこもった有難いお札が、「般若札」なのです。
物理的には、小さな紙きれ一枚です。が、腹から声を出してお経をあげるのに慣れている和尚が、この三が日のご祈祷で、声をからすほどなのです。各家庭に持ち帰られた後、そのお宅を御守りするよう、気持ちを込めさせていただいているそうな。

先日は、坐禅会やおやこ論語塾に参加なさった方たちにお配りしました。通常は、ご近所の方たちやお世話になった方、親族、ご縁ある方たちにお正月の御年賀のてぬぐいと共にお配りしております。

住職の気の入ったお札が、各家庭を御守りできますようにと私も願うと同時に、きっと御守りできるであろうと信じてお渡ししています。
目には見えずとも、和尚の祈念する気持ちと、もらった方の信じる心が作用して、きっと力になるのだろうと思っております。