釈宗演と『世俗』の師家・福沢諭吉

2019.07.14

ご報告が遅れましたが、「中興開山 釈宗演老師没後100年記念事業」の一環で開催しております講演会のご報告です。
第一回目は、下記の内容で6月2日に開催されました。

「釈宗演と『世俗』の師家・福沢諭吉」
講師:都倉武之先生
(慶應義塾福沢研究センター 准教授)

まずは福沢諭吉という人が、どのような思想の持ち主であったか、様々なエピソードをご紹介いただきながら、楽しく詳しくお話いただき、それをふまえて、同様に釈宗演という人についてもたっぷりお話くださいました。
総合的に見てみると、分野は違えど、多くの共通点がある、似た二人だったのではないかということが見えてきました。

福沢自身は、民の目線で物事を考える事のできた菩薩行の方で、武士の生まれでありながら町民の格好をし、官尊民卑の世にあって、それを良しとしない人々もいたはずですが、全く気にしないあり様。
言葉は悪いのですが、変に政府の要人とつるむというような事は無かった人とお見受けしました。

宗演は、ポスターにも起用した写真をご覧になれば、どれだけ厳格で清貧なお坊さまかと思われるかもしれませんが、洋楽を学び、洋装などもし、人目をはばからず肉魚の類も食した事から、それを良しとしない人々には批判もされたようですが、妬み嫉みの類には目もむけず我が道を突き進まれた方で、またこちらも同じく、お坊さん同士でつるむようなことはなく、心ある人々のところへ赴いては法を説き、親交を深めた慈悲の人でした。

狭い世界、これまでの慣習などに囚われず、果てしなく広く深い世界と、先を見通しての行動力。
変化を生み出そうとすると、必ず変化を拒む強い力が働きますが、それをもろともせず太く貫かれた筋を通した2人。
何故そのように強くもしなやかに生きる事ができたのかも、お話からよくよく理解する事ができ、尽きぬ魅力を持つ2人の偉人の話に引き込まれた二時間超、本当に楽しい学びの時間でした。